脂質異常症とは

脂質にはコレステロール、中性脂肪（トリグリセライド）、リン脂質、遊離脂肪酸の4種類があります。

これらの中で特にLDLコレステロール(LDL-C)や中性脂肪が多すぎる、あるいはHDLコレステロール（HDL-C）が少なすぎるなどの状態を指します。脂質異常症の診断基準は以下の表のようになっております。

脂質異常症の診断基準

種類	数値	症状
LDLコレステロール	140 mg/dL以上	高LDLコレステロール血症
	120～139 mg/dL	境界域高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール	40 mg/dL未満	低HDLコレステロール血症
トリグリセライド	150 mg/dL以上 (空腹時採血)*	高トリグリセライド血症
	175 mg/dL以上 (臨時採血)

症状

引き起こされる病気

HDL-Cは余分なコレステロールを肝臓へ戻すように働く一方、LDL-Cは血管壁にコレステロールを沈着させて粥状動脈硬化を引き起こしてしまいます。血管壁に余分な脂質が沈着して形成されるプラーク(粥腫)は比較的短期間で拡大しては壊れ、そこに微少な血栓(血の塊)を形成させながら大きな塊に成長していきます。この成長により動脈を狭窄または閉塞させたり、あるいは成長途中でこぼれ落ちたプラークや血栓は流れ着いた臓器の血管や途中で同じように狭窄した動脈を閉塞させたりして脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な疾患を引き起こすため、粥状動脈硬化は非常に重篤かつ重要な病態とされています。

原因

血清脂質やリポ蛋白の代謝系に内在する異常(多くは、遺伝子異常) も原因としてあげられますが、そのほとんどが以下にあげるようなものが原因となっております。

• 高カロリー・高脂肪の食事、糖質・アルコールの過剰摂取、魚や野菜の不足など
• 運動不足、長時間座っていること
• 喫煙
• 肥満
• 糖尿病などの病気

治療

脂質異常症の治療の主な目標は動脈硬化の進行を抑え、動脈硬化が悪影響を及ぼす脳卒中や心筋梗塞などの大病を予防することにあります。

最善の治療法は食生活の改善、運動し肥満であれば減量、喫煙者は禁煙といった生活習慣の改善、そして必要であれば脂質を下げるお薬を内服することです。

薬物治療

脂質異常症に対する薬物治療は血液検査の結果だけではなく、他にかかっている病気などを含めて総合的に判断します。どの脂質異常になっているのかに応じて脂質低下薬の種類を決めますが、スタチン系薬剤は脂質の血中濃度を下げるだけでなく狭心症や心筋梗塞、脳卒中などを予防する働きも期待されるため、動脈硬化に悪影響を及ぼすLDL-Cを低下させるお薬では第一選択となります。

ただし治療の基本は薬物療法ではなく、生活習慣の改善ですので詳しくは生活習慣の改善についてを御覧ください。

定期的に血液検査でコレステロールやトリグリセライドを測定し、治療効果を確認しましょう。